オーブンの前は超高温で、ただ立っているだけでも汗が噴き出してくるほど熱さ。シェフは毎日1本に40分をかけ、一人で懸命にバームクーヘンを焼き上げています。従来のバームクーヘンはパサパサとしていて、飲み物と一緒でないと喉を通らないイメージがあったので、今までにないしっとりとしたバームクーヘンを作りたいと考えました。
あまり焼き色を付けずに火を通すことで、生地に水分を残し、しっとりふわっとした食感に仕上がります。だから、オーブンの中の生地から一瞬たりとも目を離すことができません。
生地はまず10層を重ねて焼いたところで一度休ませて生地をしめ、さらに10層ほど重ねて焼き上げていきます。気候によって、芯棒を回す速度や温度の微妙な調節がシェフの技の見せどころ。三本同時に焼く手法だと焼きムラができるので、ラッフィナートでは昔ながらの一本焼きで、一層一層丁寧に、生地の状態を見ながらふっくらと焼き重ねていきます。
水分が多いので生地が柔らかく落ちやすいのですが、この生地を何層にも重ねるのがおいしさのポイント。玉子はふくよかな風味の紀州うめたまごをたっぷりと使い、さらによつ葉バターで濃厚なコクをプラス。口に入れた瞬間に溶けだすような濃厚な甘味が広がりますが、甘さを控え、しっとり感を出すためにみかん蜂蜜も加えているので、後味はすっきりと感じられるはずです。
わが子の成長を見つめるように、一層一層愛情をこめて焼き上げたバームクーヘンを、ぜひご堪能ください。